訪日インバウンド事例紹介|成功する黒門市場のマーケティング手法

   

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こんにちは管理人のmorunです。

2015年の訪日外国人観光客は前年47.1%増の1973万人を超え、今年2016年には2350万人に達すると予想されています。(引用「16年の訪日客、19%増の2350万人 JTB見通し」日本経済新聞)

今回は東南アジア戦略の参考として、リアル系のインバウンドで観光客の取り込みに成功している大阪・黒門市場の取り組みについて調査してきました。

WEBマーケティング視点だけでなく、リアル系の店舗やイベントなどの参考にもなると思いますので是非ご覧ください。

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黒門市場の立地条件(観光として好立地かつコンパクト)

黒門市場は大阪中央区にあり、大阪の繁華街であるミナミ(難波)から歩いて10分程度のところにあります。

黒門市場となんば観光地の立地

徒歩約10分圏内に以下の観光ポイントが存在しています。

  • 地下鉄なんば駅
  • グリコの電飾看板で有名な道頓堀
  • 日本橋オタロード
  • 黒門市場
  • 心斎橋商店街

これは東京に比べると非常にコンパクトで動きやすい観光地となっています。

この食・文化・買い物に合わせ利便性と幅広い世代を取り込んだ街の中に黒門市場が存在していることが、人気の背景としてあるのです。

黒門市場の歴史(文政5年からの歴史ある市場)

この黒門市場の歴史は古く1800年前半での江戸時代の文政から、現在の場所で鮮魚商人が売買を始めたとされています。

そして1902年、明治に入り正式に市場として開設。この時点では「黒門市場」の名前ではなく圓明寺のそばにあったことから圓明寺市場と呼ばれていたとのこと。

その圓明寺の山門が黒塗りであったことから現在の黒門市場として呼ばれることになったそうです。(他の説もありますが、現在の黒門市場の説明ではこちらが明記されています)

この黒門市場はミナミ地区の料亭や名店の料理人が利用していて、いわば高級食材を取り扱う市場でした。

大阪でも名門として知られていた黒門市場。それが訪日観光客を取り込むことになったのか?

訪日活況の前はプロ向けの高級食材を取り扱う市場

元々はプロ向けとして、ふぐや神戸牛などの高級食材を扱う店が多いため、一般人客が少なかった商店街。

精肉店には神戸牛などブランド牛肉が訪日客向けに販売されています

精肉店には神戸牛などブランド牛肉が訪日客向けに販売されています

デフレや低価格化や高級飲食店の減少により年々の利用者の減少が背景として収益面で問題化していきます。

そんな黒門市場が今のような活気を取り戻すきっかけとなったのが3年前の2013年に行った施策です。(引用元:「黒門市場、外国人で活気 商都・大阪の商店街」日経新聞)

  • 外国人向けガイドブックを作成
  • 無料休憩所の設置

ついで2015年に無料WiFiを設置と訪日観光客に向け整備を行っています。

ガイドブックは日本語と英語・中国語(繁)の2種類が用意されている

ガイドブックは日本語と英語・中国語(繁)の2種類が用意されている

中身も日本語をベースに英語・中国語の2言語版に落とし込まれている

中身も日本語をベースに英語・中国語の2言語版に落とし込まれている

ランチを食べに入ったお店の店員さんに伺ったところ「3年前から訪日客が増えたわー」とのこと。

私が訪れたのは土曜日だったこともあり、日本人の観光客も多かったです。

訪日客で賑わいを見せる黒門市場へ、つられるように日本人観光客も増えてきているように感じました。

観光客のほとんどは東南アジア系

活気が戻った黒門市場の訪日客は主に中国・台湾・韓国・タイ・インドネシア・マレーシアの東南アジアの方が大半。

市場内には訪日客で賑わいます

市場内には訪日客で賑わいます

まずは知っておきたいのが東南アジア観光客の訪日ゴールデンルート。

成田空港から入り東京~箱根~富士山~名古屋~京都~大阪で関西国際空港から帰途につかれています。

このルートで見ると大阪は日本観光の最後の地として、黒門市場は最後に食べる日本食ということなります。(引用:「訪日外国人観光客とは」訪日ラボ)

訪日客と日本人観光客の比率、平日にはなんと9:1で東南アジアの観光客が圧倒しているとのことです。

繁盛店がやっているテクニック

それでは、黒門市場で訪日観光客にウケている商品や売り方など写真を交えてご紹介します。

ウケている食べ物

商店街で売れている店をまとめると以下の3つになります。

  • 海鮮系
  • 牛肉系
  • フルーツ系

海鮮はウニが殻つきのままで1個1,000~4,500円で普通に売れていきます。

高額なウニが1殻づつ売れて行きます

高額なウニが1殻づつ売れて行きます

この後、1時間後には食べられたウニ殻が山積みになっていました

この後、1時間後には食べられたウニ殻が山積みになっていました

またホタテなどの貝系のものがバーベキューとして店頭販売が非常に人気でした。

牛肉は神戸牛のお店が人気。日本人の私でも「ちょっと高いな」と思うような価格帯ながら列をなして売れています。

高級フルーツも好調な売れ行きです

高級フルーツも好調な売れ行きです

スイーツはフルーツが人気。

日本だとソフトクリームやケーキ、かき氷や饅頭といった菓子のイメージがありますが、日本のフルーツは質が高いためそのまま土産として買われているか、その場で味わうためフルーツジュースが売れていました。

行列のできる売り方

気になるのが売り方ですよね。どのようにして訪日観光客にアピールしているのか。

ポップはシンプルに番号と料金だけのものや、英語と中国語で書かれたポップの2種類です。

効果的だと感じたのが「店頭調理型の店舗」です。

目の前で煙を出しながら販売している店は大人気でした。

視覚・聴覚・臭覚と感覚を刺激していることで、調理時には人だかりができていました。

店頭調理には人だかりができ次々とオーダーが入っていました。

店頭調理には人だかりができ次々とオーダーが入っていました。

そして接客方法は「カタコト」「ジェスチャー」です。

これは伝え方や言い回しを気にする日本と、他民族他言語の国であることの環境差があるため、「伝えること」が大切だなと身を持って感じました。

これは現場で見てもらう方がインパクトが強いと思います。

WEBマーケティングでも、日本のお作法で訴求やロゴだのとこだわる前に言いたい事を絞り込んで伝わるクリエイティブでまずは勝負する。

これが大切じゃないでしょうか。

行列のできる店作り

そして大切なのが購入客への接客方法です。

これは「イート・イン」が非常に効果的でした。

イート・インの場所には常に人で溢れかえっていました。

イート・インの場所には常に人で溢れかえっていました。

店頭の脇にある省スペースでもイート・インがあれば購入されています。右奥の通路にも人がいっぱいでした

店頭の脇にある省スペースでもイート・インがあれば購入されています。右奥の通路にも人がいっぱいでした

日本の通常店舗のような行き届いた施設は不要で仮設テーブルとパイプ椅子が主流。

机と椅子と箸、調味料とあって使い捨てお手拭き程度。

必要最低限なレベルですが、観光客であるため、また関西国際空港へ向かう直前であることからトランクを引いている方が多いので仮設レベルの方が手軽に食べられて荷物も手元においておけるのが安心されるのではと考えられます。

食べられている方たちを見ても、不満や不憫さは感じませんでしたし、イート・イン型の店が繁盛していました。

ドラッグストアやおみやげも繁盛

ドラッグストア

ここまで商店街の店舗ということで飲食関連ばかりでしたが、少し外れて黒門市場内にあるドラッグストアも調査。

こちらでは、基本として中国語のポップがメインとなっています。日本語で書かれたコピーの上に紙を貼り中国語で読めるようにしています。

中国語の大きいポップを設置されていました

中国語の大きいポップを設置されていました

手書きの中国語ポップを設置して説明補足を行っています

手書きの中国語ポップを設置して説明補足を行っています

また、店内には中国語・韓国語での説明を音声で流しています。

そして店員スタッフとして中国人スタッフを雇っていて、質疑応答できるようにしています。薬事的な懸念点も、中国人スタッフを入れていることで安心して買ってもらえるワケですね。

そして、中国で人気の化粧品である雪肌精には大きめのブースを準備していて、中国人の女の子が購入検討されていました。

雪肌精の購入で悩む中国人女子

雪肌精の購入で悩む中国人女子

帰国前に購入するにはいいタイミングですから、訪日客の導線を理解した施策だなと感じました。

おみやげ

おみやげは各種いろいろとあるのですが、魚介系乾物が人気でした。

多くの店先で魚介乾物が置かれていました

多くの店先で魚介乾物が置かれていました

ホタテやエビ、海鮮珍味は魚介を扱う店では大抵置かれていています。ホタテは2,500円くらいの価格帯ながら手に持っている方が多く爆買いこそ終われど消費意欲は日本人より高いんだなと感じました。

訪日のお土産用の伊藤園の緑茶パックがありました

訪日のお土産用の伊藤園の緑茶パックがありました

あと、伊藤園の持ち帰り用の日本茶パッケージのおみやげなど、普段見かけない日本メーカー商品もこの黒門市場にありました。

フルーツも帰国直前に買って帰る方に向けて、高級な桃やメロンなど箱入りで販売されています。

忘れてはならないインフォメーションセンターの存在

続いて黒門市場のトータルの満足感を高めているインフォメーションセンターをご紹介します。

すでに様々なメディアで取り上げられていますが、イート・インスペースを設けていて買ったものを食べたり、休憩されたりと日本観光で疲れた方にとっては無料で休める場所はありがたいだろうなと感じました。

インフォメーションセンター内にはイート・インブースがあり多くの方がいました

インフォメーションセンター内にはイート・インブースがあり多くの方がいました

インフォメーションセンターには分かりやすいサービス内容を伝える看板を設置

インフォメーションセンターには分かりやすいサービス内容を伝える看板を設置

またFree WiFiの提供や両替も行っています。

両替はその場で消費へとつながりますし、Free WiFiはSNSでの情報発信となり新たなる観光客の誘致へとつながっていきます。

国や役所、企業が設営するような立派な施設でなく、空き店舗を利用した手作り感のあるインフォメーションセンターは、費用対効果の視点から見ても高いパフォーマンスだといえるでしょう。

まとめ

今回、実際に大阪・黒門市場へ足を運んでみて感じたのはシンプルな思考でした。

  • ストレートな表現で確実に伝える
  • イート・イン併設でも必要最低限な設備
  • 観光客視点で考えたサービス

この3つを徹底的に実施できているから、商品の魅力が伝わり結果として購入へと結びついているのだと感じました。

これは学問としてのマーケティングや高価なデータをもとに立てられた施策でなく現場から生まれたPDCAを繰り返した先に生まれた市場なのかもしれません。

取材してみた感じたこと

昨今、WEBマーケティングやデジタルマーケティングと主流になっていますが、黒門市場のように雑草のように強いマーケティングは目から鱗でした。

マーケティング視点に立つ前に「物を売る」ことを思い出させてくれました。

あの景色をコトラーさんに見せて、感想を伺ってみたい。そう思いましたww

みなさんのマーケティングにお役立ていただければ幸いです。

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